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決算が近づいてきて、経費で使っていた営業車をそろそろ手放そうか——そう考えて手続きを調べはじめると、個人の車を売るときとは勝手が違う場面に何度も出くわします。社用車(法人名義の車)の売却で個人名義と大きく違うのは、①用意する書類の種類、②売却後の会計処理が必要になる、この2点です。この記事では、法人名義ならではの必要書類と売却の進め方、会計処理の一般的な考え方までクルウル編集部が整理しました。
結論:社用車売却は「書類」と「会計処理」が個人名義と違う
社用車の売却自体は、個人名義の車と同じように買取店への査定・売却で進められます。違ってくるのは、車検証の所有者が「法人」になっているために、実印や印鑑証明書が個人のものではなく法人のものに置き換わる点。そしてもう一つ、車両は会社の帳簿上「固定資産」として計上されているため、売却したら帳簿価額との差額を売却損益として処理する必要が出てくる点です。
社用車を売る前に押さえておきたいのは、①法人の実印・印鑑証明書(発行元は法務局)を用意すること、②社内の決裁ルートを先に確認しておくこと、③売却後は固定資産台帳から除却し、売却損益を計上する必要があることの3つです。会計処理の実務は会社ごとの経理ルールで変わるため、この記事はあくまで一般的な流れの整理としてお読みください。
個人名義との違い①:法人ならではの必要書類
まず戸惑いやすいのが書類の違いです。個人の車売却では市区町村役場発行の印鑑証明書と実印を使いますが、法人名義の場合は代表者の実印(会社の代表印)と、法務局で発行する法人の印鑑証明書に置き換わります。車検証の住所が現在の本店所在地と異なる場合は、法務局発行の履歴事項全部証明書(いわゆる登記事項証明書)も追加で求められることがあります。
| 書類 | 個人名義 | 法人名義 |
|---|---|---|
| 車検証・自賠責保険証明書 | 必要 | 必要 |
| 実印 | 個人の実印 | 法人の代表者印 |
| 印鑑証明書 | 市区町村役場発行 | 法務局発行 |
| 登記事項証明書(履歴事項全部証明書) | 不要 | 車検証の住所と現住所が異なる場合に必要 |
| 委任状 | 名義人以外が手続きする場合のみ | 担当者が代表者の代理で動く場合は必要 |
| 自動車税(種別割)納税証明書 | 必要(提示) | 必要(提示) |
※2026年7月時点・複数の買取業者の公表情報を基にした一般的な必要書類です。書式や運用は買取店ごとに差があるため、最終的には申し込み先の案内に従ってください。普通車の個人名義における必要書類の詳細や紛失時の再発行手順は車を売るときの必要書類の記事にまとめているので、あわせて確認してみてください。
実務上つまずきやすいのが「代表者本人が店舗に出向けない」ケースです。経理担当者や営業担当者が代わりに手続きする場合、代表者の実印を押した委任状が必要になります。委任状の記入項目や、住所を印鑑証明書と一字一句合わせる注意点は、個人の名義人以外が売却するケースとほぼ共通です。名義人以外が車を売る方法の記事で委任状の書き方を詳しく解説しているので、担当者が手続きする会社は参考にしてください。
社用車売却の手順を5ステップで整理
基本の流れは個人名義の売却と大きくは変わりませんが、社内の決裁が挟まる分、ステップが一つ増えるイメージです。
- 社内で売却の決裁を取る:稟議や取締役会など、会社の規模に応じた決裁フローを確認する
- 相場を調べる:車種・年式・走行距離からおおよその買取相場をつかむ
- 複数の買取店へ査定を依頼する:一括査定などを使い、法人名義であることを最初に伝えておく
- 契約する:金額に納得したら、代表者印の押印など社内の押印フローに沿って契約を結ぶ
- 引き渡し・入金・固定資産台帳から除却する:車両の引き渡し後、経理部門へ売却の連絡をして帳簿を整理する
個人と決定的に違うのは最初と最後です。最初は「決裁を取ってから動く」こと、最後は「引き渡して終わりではなく、固定資産台帳の除却と会計処理まで完了させる」こと。この2つを意識しておくと、後から経理処理が漏れる事態を防げます。査定から入金までの一般的な日数の目安や、契約後に確認すべきポイントは車査定・車買取の流れと仕組みの記事でも整理しています。
まずは社用車の相場感を、複数社の査定額で確認してみる
会計処理の基本的な考え方【概要レベル】
ここからは会計処理の考え方を、あくまで概要レベルで整理します。具体的な勘定科目や仕訳、消費税・法人税の計算は会社の状況によって変わるため、詳しい仕訳・税務処理は必ず顧問税理士・会計士に確認してください。この記事はその前提を理解するための整理と捉えてください。
社用車は会社の帳簿上「車両運搬具」という固定資産として計上され、購入後は毎年の減価償却によって帳簿価額(取得価額から減価償却累計額を差し引いた金額)が減っていきます。売却時は、この帳簿価額と実際の売却額を比べて差額を計算する、というのが基本の考え方です。
売却額が帳簿価額を上回れば「売却益」、下回れば「売却損」
考え方はシンプルで、売却額が帳簿価額より高ければ「固定資産売却益」、低ければ「固定資産売却損」として処理されます。たとえば帳簿価額が仮に80万円で、売却額が100万円だったとすれば差額の20万円が売却益、逆に売却額が60万円だったとすれば差額の20万円が売却損にあたる、というイメージです。この数値はあくまで考え方をつかむための例示であり、実際の金額や仕訳の科目は車両ごとの減価償却の状況によって変わります。
減価償却の記帳方法によっても表示が変わる
減価償却費をあらかじめ資産から差し引いて記帳する「直接法」と、減価償却累計額として別途記帳する「間接法」のどちらを採用しているかによって、売却時の仕訳の見え方も変わってきます。どちらを使っているかは会社の経理方針によるため、自社の経理担当者・会計ソフトの設定を確認する必要があります。
また、消費税の課税事業者かどうかによって売却時の消費税の扱いも関わってきます。この記事では金額や税率の計算には踏み込みません。仕訳の勘定科目・消費税区分・法人税への影響といった具体的な処理は、顧問税理士・会計士に相談したうえで進めることを強くおすすめします。
売却前に社内で確認しておきたいこと
会計処理と並んで、社内での事前確認も大事なポイントです。とくに次の3つは、売却を決める前に確認しておくとスムーズに進みます。
- 売却のタイミングが決算期の前か後かで、当期の損益への影響が変わる
- 売却時期の判断は経理・税務の視点も入るため、早めに経理担当者へ相談する
- 代表者印の押印タイミングが合わず、契約が先延ばしになる
- 複数拠点がある会社では、車検証の住所と本店所在地の不一致に気づくのが遅れる
もう一つ意識したいのが、個人名義の売却と同じく複数の買取店を比較することです。社用車は営業車・社有車としてまとまった台数を一度に手放すケースもあり、業者によって法人取引への慣れや対応スピードに差が出やすい分野でもあります。査定を依頼する段階で「法人名義であること」「複数台まとめての相談かどうか」を最初に伝えておくと、対応がスムーズです。
金額や条件について口頭で話を進めること自体は問題ありませんが、契約・押印・入金口座の指定は経理部門と連携しておくのが安全です。売却代金の入金確認や、固定資産台帳の除却処理は経理側の作業になるため、営業担当者だけで完結させず、早い段階から経理担当者を巻き込んでおくと、あとの会計処理がスムーズに進みます。
よくある質問(FAQ)
まとめ:書類と会計処理、両方の準備を早めに
社用車の売却は、個人名義の車と比べて「法人の実印・印鑑証明書に置き換わる書類まわり」と「固定資産の除却・売却損益という会計処理」の2点が大きな違いです。手順自体は個人と同じ「相場を知る→複数社で比較→契約→引き渡し・入金」の流れに、社内の決裁と経理への連携が加わるイメージで進めれば迷いにくくなります。
会計処理については、この記事で紹介したのはあくまで一般的な考え方の整理です。具体的な勘定科目や消費税の扱い、決算への影響といった判断は、必ず顧問税理士・会計士に確認しながら進めてください。書類と社内の段取りが整ったら、まずは複数の買取店に査定を依頼し、相場感をつかむところから始めてみてください。
書類の準備と並行して、社用車の査定額を比較してみる

